海外に行っていないのに、月曜の朝だけ時差ボケのように体が重い。この現象には名前がある。「社会的時差ボケ(ソーシャル・ジェットラグ)」——平日は6時起き、休日は10時起き。この4時間のずれは、体内時計にとって毎週スペインとの間を往復しているのと同じことになる。飛行機に乗らない時差ボケが、日曜の夜ごとに発生しているわけだ。

寝だめは「返済」ではなく「時差の発生」だった

平日に削った睡眠を休日にまとめて返す。この「寝だめ」の発想自体が、体内時計の側から見ると誤解を含んでいる。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、睡眠不足が借金のように積み上がる「睡眠負債」の考え方に触れつつ、休日の朝遅くまでの寝坊が体内時計を後ろへずらし、週明けの不調につながることを指摘している。つまり休日の寝坊は、負債の返済のつもりで、別の請求書——時差——を発行している。不足を補う行為そのものが悪いのではない。起きる時刻を大きく動かす形で補うのが問題なのだ。

体内時計は毎朝の光でリセットされる。起床が4時間遅れれば、光を浴びる時刻も4時間遅れ、時計は「この人の朝は10時」と学び直す。そして月曜、時計がまだ深夜のつもりの6時に、目覚ましだけが鳴る。

ずらすなら「起きる側」ではなく「寝る側」

対策の原則はシンプルで、起床時刻をなるべく動かさないこと。睡眠ガイドも、休日も平日と同じような時刻に起きることを勧める整理をしている。眠りが足りないなら、遅く起きるのではなく早く寝る側で調整する。それでも休日くらいゆっくり眠りたい、という気持ちは分かる。現実的な落とし所としてよく示される目安は、平日との差を2時間以内に収めることだ。10時ではなく8時に起きて、足りなければ昼の短い仮眠で補う。これなら時計を大きく巻き戻さずに済む。

私の実感では、これは意志の問題というより予定の問題だ。休日の午前に楽しみな予定——朝の散歩、市場、ジム——をひとつ置いてしまうと、起床時刻は勝手に固定される。寝坊を我慢するのではなく、朝を使う理由を作る方が続く。

週末の設計を、3つだけ変える

  1. 休日の起床を平日プラス2時間以内に収める。 目覚ましは平日と同じ時刻にセットし、二度寝するかは起きてから決める
  2. 足りないぶんは昼寝で返す。 午後の早い時間に30分以内。夜の睡眠と競合しない返済方法はこれだけだ
  3. 日曜の夜は早める側に倒す。 月曜がつらい人の多くは日曜の夜更かしとセットになっている。日曜だけは寝る時刻に締切を引く

眠気や不調が数週間続くなら、生活リズムの問題とは別の可能性がある。医療機関への相談をためらわないでほしい。

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