ジムを1日休むと、積み上げたものが崩れる気がする。あの落ち着かなさには覚えがある。だが順番を整理すると、不安の向きが逆であることに気づく。トレーニングで起きているのは、筋肉を「壊す」ことだ。育てる工程は、ジムを出たあと、飯を食って眠っているあいだに進む。つまり休養日は練習の欠席ではなく、練習の後半にあたる。

国の推奨は「週2〜3回」。毎日やれ、とは書いていない

厚生労働省のe-ヘルスネットは、レジスタンス運動(筋トレ)について、標的の筋肉には疲労からの回復期間が必要で、トレーニングの間隔をあけることが必要だと解説している。そして「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」が成人に推奨する筋トレの頻度は週2〜3回。裏を返せば、同じ部位を毎日追い込むことは公的な推奨のどこにも書かれていない。ジム文化には、鍛えたあとに一度落ちた力が休息を挟んで元の水準を超えて戻る、という「超回復」の考え方が古くからあるが、公的機関の整理でも骨子は同じだ。壊す・直す・強くなる。直す時間を削れば、残るのは壊すだけになる。

「週30〜60分でリスクが低い」という報告の意味

量についても興味深い報告がある。東北大学などの研究チームは2022年、筋トレの実施時間と健康との関係を過去の研究を統合して解析し、週30〜60分程度行う人で死亡などのリスクが低い傾向を報告した。注目すべきは、長くやるほど良いという単純な右肩上がりではなかった点だ。もちろんこれは因果を断定する研究ではないが、「足りない」を心配してきた頑張り屋に、「多すぎる」の可能性を初めて突きつけた報告として読める。

実務に落とすなら、休養日は「全身を止める日」だけを指さない。e-ヘルスネットの解説が言うのは、あくまで同じ筋肉に回復の間隔が要るということだ。だから月曜に脚、水曜に押す種目、金曜に引く種目と部位を回せば、ジムに通う頻度を保ったまま各部位には中2〜3日の回復を与えられる。毎日ジムに行きたい人は、行くのをやめるのではなく、割り振りを変えればいい。それでも週に1〜2日は、どの部位も触らない日を置く。関節や腱、そして頭の疲れは、部位のローテーションでは休めないからだ。

なぜ休めないのか。理屈では分かっていても休めないのは、休養日には達成感の記録が残らないからだと私は見ている。挙げた重量は数字になるが、回復は数字にならない。だから記録を逆手に取ればいい。休養日を「何もしなかった日」ではなく「回復を実行した日」として、練習ノートに書く欄を作ってしまうのだ。

休養日に「やること」を3つ与える

  1. 休みの日をあらかじめ週2日、予定として決める。 なりゆきで休むと罪悪感が出る。決めて休めば実行になる
  2. 休養日のメニューは、よく食べる・よく寝る・軽く歩く。 完全に止まる必要はない。強度を落として体を回す
  3. 練習ノートに「回復」の欄を作り、休んだ日に丸をつける。 丸が並べば、休みも積み上げに見えてくる

痛みが続く場合は休養日の問題ではなく、フォームか負荷の問題だ。長引くなら医療機関へ。

出典