トレーニングの話は熱心にするのに、その後の飯の話になると急に雑になる人は多い。バーベルを置いた瞬間から、体の関心は「壊れた組織を直す材料があるか」に移っているのに、だ。材料の筆頭がたんぱく質。そして日本には、この摂取量について国が定めた具体的な数字がある。

65gと50g。5年ごとに見直される国の数字

厚生労働省が5年ごとに改定する「日本人の食事摂取基準」の2025年版では、たんぱく質の推奨量は18〜64歳の男性で1日65g、女性で50gと設定されている。推奨量とは、ほとんどの人が必要量を満たせる水準として算出される値だ。65gと聞いてもピンとこないが、食品に置き換えるとイメージが変わる。卵1個で6g前後、納豆1パックで8g前後、鶏むね肉100gで20gあまり——つまり肉や魚を含む食事を3食きちんと組み立てて、ようやく届く量になる。朝を菓子パンとコーヒーで済ませると、残り2食で挽回する計算になり、途端に忙しくなる。

鍛える人ほど「運動後だけ」に賭けがちだ

トレーニング直後のプロテインシェイクを神聖視する文化がある。もちろん運動後の補給には意味があるが、材料の供給という視点で見ると、1回の大量摂取より1日を通じた配分が土台になる。体の組織は常に作り替えられていて、材料の需要は24時間続くからだ。ジムには通うのに朝食を抜く人は、工事の発注だけして資材の搬入を止めているようなもの——これは3食を自炊してきた私の台所からの実感でもある。

配分の実務は、コンビニでも組める。ゆで卵、サラダチキン、ギリシャヨーグルト、豆乳、ツナ缶、チーズ。どれも昔からある定番で、「高たんぱく」の飾り文字がなくても中身はたんぱく源だ。出張や残業の日は、この定番から2つ拾って食事に足すだけで、抜けがちな一食の穴が塞がる。粉のプロテインを買うかどうかは、この土台を組んだあとに考えればいい話で、順番が逆になっている人が多いように見える。

なぜ今この話かと言えば、たんぱく質がブームの言葉になったからだ。コンビニの棚には高たんぱくを謳う商品が並び、数字だけが独り歩きしている。ブームの中で忘れられがちなのは、特別な商品を買わなくても、卵と納豆と肉と魚という昔ながらの布陣で目安には届くという事実だ。商品を選ぶ前に、まず自分の3食を数えてみる方が早い。

明日の朝食に、たんぱく源をひとつ足す

  1. 朝食に卵か納豆かヨーグルトをひとつ足す。 一番抜けやすい朝を先に埋める
  2. 自分の1日分をざっくり数えてみる。 主菜の肉・魚・卵・大豆製品だけ数えれば大枠はつかめる
  3. 鍛えた日の翌日(休養日)こそ、いつも通りに食べる。 直す作業は運動しない日にも続いている

持病で食事制限のある人は、この目安より主治医や管理栄養士の指示を優先してほしい。

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