夕方の打ち合わせ前に1杯、夜の作業前にもう1杯。コーヒーで一日を運転している自覚はあるのに、夜の寝つきの悪さとは別の話だと思っている——少し前の私がそうだった。両者をつなぐのが「半減期」という考え方だ。飲んだカフェインが体から半分抜けるまでの時間。この数字を知ると、午後のコーヒーの見え方が変わる。
半分抜けるのに、数時間かかる
内閣府の食品安全委員会がまとめたファクトシートによると、健康な成人でカフェインの血中の半減期はおおむね2〜8時間。幅が大きいのは、体質や体調、他に摂っているものによって代謝の速さが大きく変わるからだ。仮に半減期を5時間として計算すると、15時に飲んだコーヒー1杯(カフェイン約100mg強とする)は、20時にまだ半分、深夜1時にも4分の1が体内に残っている勘定になる。夜中まで残業しているのは自分ではなく、昼のコーヒーだったわけだ。
カフェインが眠気を抑えるのは、脳内で眠気を伝える物質の働きを一時的にブロックするためとされる。つまり眠気が消えるのではなく、通知が止まっているだけ。体内に残っている限り、布団に入っても通知オフは続く。
「1日400mg」と「夕方以降」という2つの目安
量の目安も公的に示されている。食品安全委員会のファクトシートは、欧州食品安全機関などの評価を引きながら、健康な成人で1日400mg程度までなら健康リスクの増加はないとされる、という各国の評価を紹介している。コーヒーに換算しておよそ3〜4杯ぶんだ。一方、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」は、眠りの側から夕方以降のカフェイン摂取を控えることに触れている。総量は昼までに、夕方からはゼロへ——2つの目安を重ねると、そういう運用になる。
面白いのは、カフェインへの強さに大きな個人差があることが公的文書にも明記されている点だ。「私は夜にコーヒーを飲んでも眠れる」という人は実際にいる。ただ、寝つけてはいても眠りが浅くなっていた、という可能性は残る。強さの自己申告は、当てにならないことがある。
締切は「寝る時刻マイナス8時間」
- 自分のラストオーダーを決める。 24時に寝るなら16時、それで夜が浅い感じがするなら14時へ前倒しする。体質の個人差が大きいので、締切は自分で実験して決めるしかない
- 夕方以降はデカフェか麦茶に置き換える。 「コーヒーを飲む」という行為の方に依存している場合、中身を替えるだけで済むことは多い
- 昼の仮眠と組み合わせるなら直前に飲む。 飲んでから回り始めるまでの20〜30分をそのまま仮眠に充てると、ちょうど目覚める頃に回ってくる
エナジードリンクや眠気覚まし薬はカフェイン量が桁違いのものがある。表示を確認し、体調に不安がある人や妊娠中の人は医師に相談してほしい。


